陳若冰 「光のなかへ」


2005年3月19日-4月30日 タグチファインアート


































 陳若冰(チェン・ルオビン)は1970年中華人民共和国生まれ。杭州美術アカデミーで学んだ後、1992年に渡独、1998年にデュッセルドルフ美術アカデミー、G. グラウブナー教室を修了しました。2000年にはアーティスト・イン・レジデンス・プログラムで数ヶ月間、アメリカ・コネチカットのジョセフ・アンド・アニ・アルバース財団に滞在。現在はドイツ、デュッセルドルフを拠点に制作活動を続けています。




中国絵画と西欧近代絵画の止揚

 陳若冰はアカデミー在学中から、単純な幾何学的形態を反復してキャンバスに不規則に描き、「地」と「図」を等価関係に置く絵画作品を制作してきました。これは彼が身につけた中国絵画の伝統と、現在そのなかで暮らす西欧近代とを作品のなかで統合しようとする試みです。
 そして、奥行きを浅くした装飾的ともいえる絵画空間と水墨画を思わせるアクリル絵の具の微妙な滲み、画面内奥から作品外部に向かって溢れ出るかのような形而上学的な光、これらによって陳若冰は独特の魅力的な作品を生み出すことに成功しました。
 14年におよぶドイツでの生活を経験した現在、ヨーロッパ文化のなかで制作する中国人画家というその基本的な立場こそ変わりませんが、陳若冰はもはや中国絵画と西洋近代絵画の対立という構図を軽々と飛び超え、独自のスタイルを獲得したようです。




 2004年にはドルトムントのアム・オストヴァル美術館で個展を行い、2005年には母国上海美術館での「形而上学(仮題)」展、ボン美術館でのグループ展に出品が予定されているなど、陳若冰の作品への関心はヨーロッパのみならず、次第に世界的なものとなってきました。今後の活動がおおいに期待されます。




 今回はデュッセルドルフのギャラリエ・フェゼルと共同で、ボン美術館館長 ディーター・ロンテ氏のテキスト(英・独・日・中の4カ国語)を収録したカタログを制作致しました。




出品作品


1. 無題, 2003, アクリル・キャンバス, 25.3 x 25.0 cm

2. 無題, 2003, アクリル・キャンバス, 25.0 x 25.0 cm

3. 無題, 2002, アクリル・キャンバス, 40.5 x 40 cm

4. 無題, 2002, アクリル・キャンバス, 100 x 100 cm

5. 無題, 2004, アクリル・キャンバス, 45.0 x 46.0 cm

6. 光のなかへ, 2004, アクリル・キャンバス,
 4点組、各210.0 x 60.0 cm