The Human Condition 2007 「ジャガーの子どもたちーオルメカの美術」


2007年5月26日-6月30日 タグチファインアート






人物座像土偶 BC900-600 ラス・ボカス遺跡



































タグチファインアートでは、人間の本質的・根源的欲求から生み出された美術を、時代や地域にとらわれることなくご紹介するシリーズを「The Human Condition」と題し、今後機会あるごとに展覧会をおこなってまいります。第1回目の今回は、中米美術の源流であるオルメカ文明をとりあげます。



現在中米、あるいはメソアメリカと呼ばれている地域は、中央メキシコからグアテマラ、ベリース、ホンジュラス、エルサルバドルの一部におよぶ地域を指します。この地域の民族は多種多様で、使用された言語もさまざまですが、宗教や暦、農作物など共通する部分も非常に多く、ひとつの文化圏として考えられています。

メソアメリカ最古の文明とされているのが今回とりあげるオルメカ文明で、紀元前1250年頃から紀元前後までの約1250年間、メキシコのヴェラクルス州、タバスコ州といったメキシコ湾岸地域を中心に栄えました。オルメカの洗練された文明は、交易などを通じて同時代の周辺の広範な地域に大きな影響を与え、それぞれの地方文化と融合し、地方独自の文化を産み出すことになりました。メソアメリカの母なる文明とされる所以です。

今回は、オルメカ文明が残した美術品のなかでも特に、テラコッタや翡翠で作られた地母神像を中心に、陶製の壷や鉢、翡翠製の錫杖や玉刃など、あわせて38点を展示致します。日本ではオルメカの美術品が実際に紹介されることはあまりなく、本展は稀少な機会となります。また、本シリーズ企画が新奇さや流行を追い求めがちな現代の美術状況を再考する一助となれば幸いです。