イングリット・ヴェーバー 「12の色調ー光と影の術ー実験」


2008年5月10日-6月14日 タグチファインアート
























































 イングリット・ヴェーバーは1961年ドイツ、オーバーマウバッハ生まれ。1991年にデュッセルドルフ美術アカデミーで ヤン・ディベッツによりマイスター・シューラーを取得。2000年にはエルンスト・ポンスゲン協会から奨学金を受け、1年間ニューヨークに滞在。現在はデュッセルドルフを拠点に活動しています。2004年7月には目黒区美術館での「色の博物誌・黄ー地の力&空の力」展に出品し、また同年の10月から11月まで府中市美術館において公開制作を行うなど、日本でも積極的に作品を発表しています。


 ヴェーバーは一貫して、単色かあるいは極めて限られた数の色彩で画面を構成するモノクローム絵画を制作しています。
 彼女は制作の準備段階として、まず注意深く顔料(ファルブミッテルー色の材料)を混ぜ合わせ、それらの配合を変えて微妙に色価(同じ色相のなかでの明暗や灰色の含有量の差異)の異なる何種類かの絵の具を作り出します。たとえば、同じ緑色にしても、そこに混ぜる黄色の顔料や青色の顔料の量、また練り剤の量や種類を変えることによって、さまざまな緑色を作り出すのです。その後、それらのなかからいくつかの色を選び、それぞれの色ごとに作品を制作していきます。


 今回の展示では、37 x 37 cmという同じ大きさのキャンバスを用いた12点の作品によって12の色調を提示いたします。これほど多くの異なった色彩の作品を同時に制作することは、作家にとって初めての試みであり、制作途中の様々な色彩の画面に囲まれて制作する経験を通し、個々の色彩や色彩相互の関係に関する理解を深めることになりました。2006年11月の個展に続く日本で4度目の個展となります。また、カタログも作成致しました。



出品作品


12の色調, 2008
油彩・顔料・キャンバス
各 37 x 37 cm(12点組)

色調 I (カドミウム・イエロー)
色調 I/II (カドミウム・イエロー, カドミウム・オレンジ)
色調 II (カドミウム・オレンジ)
色調 II/III (カドミウム・オレンジ, カドミウム・レッド)
色調 III (カドミウム・レッド)
色調 III/IV (カドミウム・レッド, アリザリン・ヴァイオレット)
色調 IV (アリザリン・ヴァイオレット)
色調 IV/V (アリザリン・ヴァイオレット, ウルトラマリン・ブルー)
色調 V (ウルトラマリン・ブルー)
色調 V/VI (ウルトラマリン・ブルー, ヴァゴナー・グリーン)
色調 VI (ヴァゴナー・グリーン)
色調 VI/I (ヴァゴナー・グリーン, カドミウム・イエロー)