野村和弘「レオナルド」2003年11月8日 - 12月20日 タグチファインアート |
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野村和弘は1958年高知県生まれで現在神奈川県在住。1988年に東京芸術大学博士課程を満期修了後、ドイツ学術交流会(DAAD)奨学生として渡独。1990年にデュッセルドルフ美術アカデミーを修了した後、1993年に帰国。東京芸術大学在学中から「言葉と意味」、「芸術・制度・社会」、「全体と部分」、「完全なものと不完全なもの(原型と写し)」等の問題をテーマに、ドローイング、絵画、パフォーマンスやインスタレーション等、形式にとらわれない作品を制作してきました。近年は小さな画面に5色の極小の点で同一の図柄を描いた禁欲的なタブローのシリーズを中心に発表しています。 レディメイド「foreword」と題された今年4月の南天子画廊における個展「foreword」では、タブロー形式の作品に加え、これまで未発表であった初期のオブジェやレディメイド作品、パフォーマンスやインスタレーションのドキュメント等が出品されました。近年のタブロー作品で野村を知った人々にとって、これらの多くは未知の作品であり、大きな驚きと少しの混乱をもたらしたようです。今回のタグチファインアートにおける展示も、レディメイド作品が中心となりますが、アーティストブック「leonardo」の出版にあわせ、オブジェ作品のなかでも特に、カラーコピーや新聞紙などを使用した、印刷という機能や印刷物という媒体に関わる作品を選んで展示致します。 「leonardo」「leonardo」は、野村がドイツ滞在中に入手した古いレオナルド・ダ・ヴィンチのペーパーバックの画集を素材にした作品です。同じ版元から出版されたフランス語版とドイツ語版を、それぞれ中心で縦に断裁し、フランス語版の半分とドイツ語版の半分を接合し直すことで新たに作り出された2冊の奇妙な画集です。版の位置の微妙なずれや印刷の質の違いが1つに統合されることで、大変不思議な感じをつくりだしています。マルチプル作家はかねてよりこの「leonardo」をマルチプル作品にする考えを暖めていましたが、今回それが実現し、10部限定のアーティスト・ブックとしてタグチファインアートから出版される運びとなりました。タグチファインアートから出版されるものとしては、「中川佳宣:農夫の壷ーバラ科」(2001年)に続く2冊目のアーティストブックとなります。もとになった「leonardo」とはだいぶ形態が異なっていますが、オリジナルが持つ意味や本質を、むしろより濃密なかたちで取り込むことに成功しました。作品のデータは次のとおりです。ベルクール紙(70kg)にゼログラフィーによる印刷 (協力:Art by Xerox)。スリップケース付。制作はアトリエ海月。出版はタグチファインアート。オリジナルの「leonardo」と併せたデラックス・エディションを一組制作。 初日11月8日(土)18:00 より会場にて、池田真由美氏に野村作品「エヴァは何回リンゴを食べる?」の演奏をして頂きました。 出品作品 1. エヴァは何回リンゴを食べる?, 1990, 水彩・新聞紙 2. 無題(パテ), 2003, ミクスト・メディア 3. レオナルド, 2003, ゼログラフィー・紙 4. レオナルド(特装版), 2003, ゼログラフィー・紙・ミクスト・メディア 5. 無題(つまべに蝶),1987, ミクスト・メディア 6. ein heimische Voegel II, 2002, ゼログラフィー・紙 7. 無題(2冊の本), 1987, レディー・メイド 8. 無題(ホームラン), 1987, ゼログラフィー・紙・額 |