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Re-view イングリット・ヴェーバー「カラーサークル 12の色調」


2022年1月22日-3月5日 タグチファインアート




































 イングリット・ヴェーバーは1961年ドイツ、オーバーマウバッハ生まれ。1991年にデュッセルドルフ美術アカデミーで ヤン・ディベッツによりマイスター・シューラーリン資格を取得。2000年にはエルンスト・ポンスゲン協会から奨学金を受け、1年間ニューヨークに滞在。現在はデュッセルドルフとデューレンを拠点に活動しています。2004年7月には目黒区美術館での「色の博物誌・黄ー地の力&空の力」展に出品、また同年の10月から11月まで府中市美術館において公開制作を行うなど、日本でも積極的に作品を発表してきました。 月から11月まで府中市美術館において公開制作を行うなど、日本でも積極的に作品を発表しています。

 ヴェーバーは一貫して、単色かあるいは極めて限られた数の色彩で画面を構成するモノクローム絵画を制作しています。 彼女は制作の準備段階として、まず注意深く顔料(ファルブミッテルー色の材料)を混ぜ合わせ、それらの配合を変えて微妙に色価(同じ色相のなかでの明暗や灰色の含有量の差異)の異なる何種類かの絵の具を作り出します。たとえば、同じ緑色にしても、そこに混ぜる黄色の顔料や青色の顔料の量、また練り剤の量や種類を変えることによって、さまざまな緑色を作り出すことができます。その後、それらのなかからいくつかの色を選び、それぞれの色ごとに作品を制作していきます。

 彼女は2008年に日本橋茅場町の弊社旧スペースにおいて、37 x 37 cmという同じフォーマットのキャンバスを用いて制作した、色調の異なる12点からなる作品を発表しました。多くの異なった色彩の作品を同時に制作することは、作家にとって初めての試みであり、制作途中の様々な色彩の画面に囲まれて制作する経験を通し、個々の色彩や色彩相互の関係に関する理解を深めることになりました。

 初出の展示はスペースの事情により、2部屋に分けてのものでしたが、今回の展示では12点の作品を一堂に、そして円環状に展示致します。カラーサークルは18世紀にJ.W.ゲーテが提唱した色彩理論ですが、ヴェーバーもまた、彼女独自のカラーサークルを制作の基準としています。今回の展示を通してそれを実感して頂けましたら幸いです。

ヴェーバーにとっては8年振り、7回目の個展となります。2008年の展示をご覧下さった方はもちろん、初めての方も、ぜひご高覧ください。また、今回の展示は、過去の展示や作品を再検証する試み "Re-view" の第1回目となります。



出品作品


1.
12の色調, 2008
油彩・顔料・キャンバス
12点組, 各 37.0 x 37.0 cm

2.
無題 (カドミウムブラウン), 2003
油彩・顔料・キャンバス
45.0 x 45.0 cm

3.
無題 (スレート), 2001
油彩・顔料・キャンバス
60.9 x 60.9 cm