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シュテファン・バウムケッター 「絵画」


2015年11月28日-12月26日 タグチファインアート











































 シュテファン・バウムケッターは1958年ドイツ、ミュンスター生まれ。1980年から1986年までデュッセルドルフ美術大学ミュンスター校で学び、2010年からはブレーメン芸術大学教授。現在ケルンとブレーメンを拠点に活動。ドイツの現代抽象絵画を牽引する画家のひとりとして高く評価され、その作品は、ボン市立美術館、レンバッハハウス市立美術館(ミュンヘン)、コロンバ大司教区美術館(ケルン)、ハーバード大学ブッシュ・ライジンガー美術館(ケンブリッジ)など、多くの美術館に収蔵されています。


 今回展示の中心となるのは、バウムケッターの主要な仕事であるオイルスティックによる絵画作品です。これらの作品はモノクローム絵画を装っていますが、よく見ると、私たちはそこに様々な色彩の茫漠とした空間が次々に現れては消え、消えては現れるのを体験することができます。


 オイルスティックは油絵具を円筒形に固めた画材で、とても柔らかく、描くにしたがってその形状を変えてしまうため、十全に制御して使うことが難しい素材です。バウムケッターはそうしたオイルスティックの特徴を理解し、その描画における偶然性や再現の不可能性を利用することで、自らの意図や情緒、理念や感覚の再現ではない、何ものをも表現しない自律した絵画を創り出そうと試みています。


 オイルスティックによるドローイングの線は、本来は作家個人の腕や身体の動きに直接繋がっているものですが、長い制作のなかで繰り返されることにより、重ね合わされて消失していきます。線が消えるだけでなく、色も混ざって徐々に均一化されていきます。色彩の混合によって生まれる曖昧で不明瞭な空間が非人称性、匿名性を獲得するところまで、彼は制作を続けます。これは、絵画におけるオートマティスムの一つの試みと言うことができるかもしれません。


 本展示は、2008年9月にギャラリー・テラシタ(東京)で行われた彼の日本での初個展以来7年振り2度目、タグチファインアートでは初個展となります。私たちを言語的な認識から解放し、純粋な「視る」という行為に立ち戻らせるバウムケッター作品をこの機会にぜひご高覧下さい。


なお、展覧会初日11月28日17時よりこの機に来日する作家を囲み、ささやかなレセプションを行います。



出品作品

1. 無題, 2014年
  オイルペイントスティック・麻布, 73.5 x 46.0 cm

2. 無題, 2015年
  オイルペイントスティック・麻布, 73.5 x 50.5 cm

3. 無題, 2012年
  オイルペイントスティック・麻布, 83.5 x 48.5 cm

4. 無題, 2014年
  オイルペイントスティック・麻布, 63.0 x 43.0 cm

5. 無題, 2010年
  オイルペイントスティック・麻布, 90.0 x 52.5 cm

6. 無題, 2012年
  オイルペイントスティック・麻布, 78.0 x 45.5 cm

7. 無題, 2013年
  オイルペイントスティック・紙, 32.0 x 24.0 cm

8. 無題, 2013年
  オイルペイントスティック・紙, 32.0 x 24.0 cm

9. 無題, 2013年
  オイルペイントスティック・紙, 32.0 x 24.0 cm